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今日も電車は「想い」を乗せて。「鉄道少女漫画」が……良い

上京して思ったことは、関東は電車が一般的な移動手段ということでした。
生活に溶け込んでいると言ってもまったく問題ないでしょう。


鉄道少女漫画
鉄道少女漫画
posted with amazlet at 11.02.04
中村 明日美子
白泉社


そんな電車、鉄道を舞台にした漫画に「鉄道少女漫画」というものがあります。
購入を決めたのは、「オトコでも読める少女漫画」のいづきさんのレビューを読んだからでした。
少女の想いは電車に乗って…:中村明日美子「鉄道少女漫画」
素敵なレビューだったので……つい。以下は私なりのレビュー。

小田急線沿線を舞台に、人の「想い」が交差する


電車というものは、貨物列車を除けば人を輸送するものです。電車によって運ばれるものは人。
しかし、電車はその人の持っている「想い」も同時にどこかへと運んでいます。
怒りも、喜びも、悲しみも。


ただ淡々と通勤・通学しているようでも様々な想いを人間は抱えています。
電車は、そんな人が抱える想いを、伝えたい相手の場所まで運ぶことで伝える手伝っていました。


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電車のちょっとした豆知識も書いてあったりします。改札は入ってから出るまで、移動距離に対して時間がかなり経っていると出られないとのこと。不正乗車の疑いとかで。
なぜそうなったかを聞くのは、待たせた人の役目ですよね。


もちろん、駅員さんもある程度の事情は聞かないといけなくなると思いますが(笑)


この漫画の「彼の住むイリューダ」に登場する駅員さんが、実に素敵なのですよ。
「想い」を伝えるためにどういう電車の乗り継ぎをすればいいかだけでなく、直接的ではない「行ってこい、頑張れ」を言葉に乗せているあたりが。


主役は「想い」を伝えたい人たちですが、それをさりげなく後押しする姿が実に素晴らしい。セリフ自体は多くはありません。ただ彼の視線がたびたび描写されることで、駅という舞台で「想い」が交差しているということが実によく表現されています。


基本的には客に過度の干渉はしない。でも、「応援」したいというのが凄く伝わってくるのですよ。その様子が実に人間らしくて。


本当に鉄道を舞台に、人が「生きている」ということを感じさせてくれました。「想い」を届けようとしている人に、間に合えと願いたくなってしまうくらいです。

厚木は「本厚木」を指すか


この漫画は、電車にほとんど乗らない人でも楽しめる漫画です。
ただ、知っていたりすると「そうそう」という部分も結構あるようです。
さきほどの改札の話もそうですが、小田急線を利用する人には見覚えのある光景が描かれていたり。


私は普段、小田急線を利用することがないのですが、3ヶ月に1回位は乗る機会があります。作中に名前が出てきた駅を通過したり、「浪漫避行にのっとって」の舞台ともなった町田駅に行ったり。まあ町田はちょっとだけ登場という感じですが(笑)


作中で「厚木」というのはどこを指すか、というものがありました。
そのあたりを知っている人に話を聞く機会があったのですが、本当に「厚木」は「本厚木」を指すことが多いそうです。


「厚木駅」と「本厚木駅」があるので、他から来る人は確かに困りますね。
私も厚木と言われたら厚木駅で降りるでしょう。
少しwikiで調べたら、「本厚木駅」という駅名の由来は、「本来の厚木」という意味で「本厚木」になったそうです。紛らわしい(笑)


「想い」が運ばれていく、交差する、そんな素敵な場面を描いているこの「鉄道少女漫画」
実に悶えさせてくれる漫画でした。素晴らしい!
読んだら、小田急線に乗りたくなるかもしれませんね。
小田急線ユーザーはきっと他の人より楽しめる……?


とりあえず、今週末は小田急線に乗って江ノ島にでも行こうかな。


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