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敵である前に、同じアパートの住人だったから。誰も語らないから、私が「住めば都のコスモス荘」の話をする

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よく口ずさむまぶらほのOPを検索してたら、たまたまYoutubeの関連動画に住めば都のコスモス荘があった。
小学生だったか中学生の時好きだった記憶があったので、その動画のついでに見た。
余計に懐かしくなって、休みということもありレンタルビデオ屋で全部借りてみることにした。


……笑いもあってお色気もあって、そして熱くて。
泣くほど素晴らしい作品だということを知った。



あらすじ

神奈川県中空町にある専門学校に通うごく普通の青年・桜咲鈴雄は故郷である静岡から戻ってきたある日、株式会社オタンコナスの社員・タンポポと名乗る少女から自社のパワードスーツ・ドッコイダーのモニターになってくれと依頼される。初めは断った鈴雄だが、アルバイト探しに苦難していたため承諾することに。しかしそれは、銀河連邦警察がドッコイダーとそのライバルであるネルロイドガール、どちらのパワードスーツを採用するかのテストでもあったのだ。その正体がばれたら失格。一方A級宇宙犯罪人として銀河連邦警察に囚われていた、Dr.マロンフラワー、ヒヤシンス、エーデルワイスの3人はドッコイダー、ネルロイドガールの正体を暴けば無罪放免になると言う条件でドッコイダー達と戦う。しかもドッコイダー、ネルロイドガール、A級宇宙犯罪人達は、お互いの正体に気づかぬまま地球にあるアパート「コスモス荘」に住むことになるのだった。

ドッコイダーの魅力


主人公の鈴雄は冴えない男だ。
けれど、彼は優しい。打算的なものはない、無自覚な優しさだ。
そこに、皆が惹かれていく。自然と彼の周りに人が集まる。


誰にでも優しい人……と簡単に言ってしまいたくはない。
鈴雄の場合、自分も余裕が無いけれど人に優しくできる。
それが彼の最大の魅力だ。


彼は、ほぼなりゆきでヒーロー・ドッコイダーになった男だ。
見た目はダサいし、ヒーローらしい技もない。


特殊な波長で戦闘意欲を高めるという仕組みだったのだが、機能が不完全でそれすらもなく。
彼は、そういう波長が出ているという思い込みをしながら戦っていた。


そういう間抜けさを出しながらも、ここぞという時は誰にも負けないカッコよさを見せる。
バカだからこそ、突き抜けた熱さがあった。


難しい理論など、彼には必要ない。
何が大事か、何が守りたいかだけを考えて、その感情に身を任せれば良いのだ。
彼の行動に、小難しい理由はいらない。
鈴雄は、ドッコイダーは、ダサいけど最高にカッコ良いヒーローなのだから。

ヒロインは誰か


この作品のヒロインは誰かと言うと論争がありそうだが、私はやはり朝香だと思っている。
ドッコイダーのライバルの、ネルロイドガールに返信する彼女。
しかし、彼女はドッコイダーに対する敵対心を持っていない。そんな小さなことにはこだわらない。
良いものは良いと素直に認めるのが、彼女の魅力だ。


好きなシーンはいくつもあるが、コスモス荘の住人でプールに行った時の話が大好きだ。
鈴雄の隣に座り、見惚れていたのかと鈴雄をからかう朝香。
しかし赤面して黙ったままの鈴雄の反応が、その通りだということを彼女に告げる。
彼女も頬を朱に染め一言「ターコ」。これが最高に可愛い。
スタイルも良くて、サバサバしていて。周りのちょっとした変化に気づける、そんな朝香が好きだ。


そしてもう一人のヒロイン、小鈴。
彼女は鈴雄をドッコイダーにした張本人だ。
サポートとして、鈴雄の生活を支える彼女。妹という設定で同居するが、彼らの関係性はまさに兄妹のようだった。


そんな小鈴も、鈴雄を男性と認識することがあるようで面白かった。
コスモス荘の住人を巻き込んだ「妹萌え」騒動で、渦中の人となった小鈴は鈴雄の一挙手一同にドキドキ。
テンパる感じが、たまらなく可愛かった。
鈴雄は彼女がサポートの役目を終える時、引き止めた。
小鈴のいる生活が、鈴雄にとって当たり前になっていたのだ。もう、彼らは家族になっていたのだ。


「お兄ちゃん」
小鈴が鈴雄をそう呼ぶ姿があまりにも自然で、それはとっても素敵なことなんだと思う。

胸が熱くなる最終回。コスモス荘が結集する


また何と言っても、敵キャラが非常に魅力的なのだ。

マロンフラワーはコスモス荘の住人の時は比較的常識人で、頼れる人物となっている。
単独での、若いころのロマンスを絡めた話も良かった。
自分を押し殺す姿は、素直にカッコ良かった。


ヒヤシンスは色々と危ないキャラだが、普段敵対しているエーデルワイスを、最終回で友達と言った。
物語をかき回すという意味で、非常にキャラが立っていた。登場人物の心象風景が混ざり合った話を見る限り、彼女も辛い人生をこれまで過ごしてきたのかもしれない。


エーデルワイスこと瑠璃は……可愛い。気が強いお嬢様キャラなのに、寂しがり屋で。主人公のことをコーチとしたって。
その姿がもうね、抱きしめたいくらい可愛い。きっと彼女がそういう姿を見せることが、これまでほとんどなかったということも分かるから。
ヒヤシンスの励ましで、臆病な自分と向き合い敵に立ち向かった。
この物語の中で、一番成長したのは彼女だ。


「住めば都のコスモス荘」で1番好きな話は、やはり最終回だ。
鈴雄はドッコイダーに変身したものの、敵に囲まれ窮地に陥る。


そんな中で、敵であるはずのマロンフラワー・ヒヤシンス・エーデルワイスが登場し鈴雄に協力する。
それぞれの本来の名前ではなく、「コスモス荘の住人として鈴雄に味方をする」と。


このシーンが最高に熱くて、涙が溢れる。
同じ釜の飯を食べたものとして、助ける。敵である前に、同じコスモス荘の住人だという彼らのその矜持が、たまらなく胸に響いた。
三人同時にそう言ってのけるシーンは、本当に鳥肌が立つくらい震えるんだ。


マロンフラワーが作った栗花の存在も忘れてはならない。
恐らくではあるが、彼女はコスモス荘の住人の正体に気がついていた。
心象風景が混ざり合う話で、彼女はドッコイダーのサポートをしている「タンポポ」としての姿の状態の小鈴を、「小鈴」として認識していた。


彼女は、コスモス荘の生活が好きだったのだ。だからそれを壊さぬように、気づかないふりをしていたのだろう。
いやもしかしたら、鈴雄以外の住人は薄々は感づいていたかもしれない。
そうだとしても、やはり気づかないふりをしていただろう。みんな、コスモス荘が好きだったから。

終わりに


「住めば都のコスモス荘」
見終わってみれば、これほど適切なタイトルはない。
コスモス荘に住んで、コスモス荘の生活が皆好きになって。


12話の中に、感嘆してしまうほどの関係性が構築されていた。
楽しい夏は、まだ終わらない。いやきっと、彼らの夏はずっと終わらないのだろう。


最終回のEDを聞きながら、終わってほしくないと強く願った。
10年以上前の作品に、何をバカなことをと思うだろう。
でも、本気でそう思った。それくらい、終わってしまうのが辛くて切ないくらい、この作品が好きになっていた。


誰も語らないから、俺が「住めば都のコスモス荘」の話をする。
「住めば都のコスモス荘」は、笑いありお色気あり、そして熱くて涙もある心に響く作品なのだ。


※余談
若い頃はOPが好きだったけど、今はEDが泣きたくなるほど心に染みる



住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダーED - YouTube



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