いつかたどり着く

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勇気を出して、「自分の好き」に正直になる姿が胸を熱くする。「背すじをピン!と」が凄い。

久々に、ピュアな想いがグッとくる漫画に出会ってしまいました。
飾らない、真っ直ぐな想い。

上手くなりたいと思い、何かに一生懸命になる姿が、たまらなく心に響いてくる。


背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 1 (ジャンプコミックス)

背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 1 (ジャンプコミックス)


すじピンこと、背すじをピン!という漫画は、読者にそう思わせる作品です。

勇気を出して、自分の気持ちを伝える


高校の入学式で、部活紹介で競技ダンスに主人公たちが魅せられたところから物語はスタートします。


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全校生徒が競技ダンス部のパフォーマンスに魅せられた時、主人公・つっちーこと土屋くんもまた魅せられていました。
体験入部を通して、実際の競技ダンスの楽しさを実感したつっちー。
けれど体験入部した大半の生徒は、競技ダンスをする人たちを「別の世界の人」と捉えていました。


人目を引く格好をして、自信に満ちたダンスを大勢の前にする競技ダンス部に対して、そう思うことは不思議ではありません。
面白そうとは思っても、それよりも先に「恥ずかしい」という感情が、大半の人間にあるのでしょう。
それはきっと、正しい。


でも恥ずかしさより、楽しさが勝ることだってあるでしょう。
楽しかった、やってみたい。そう思う人間が当然いるはずです。

つっちーは、やってみたいと思う側でした。しかし彼の性格は後ろ向きで、周りが「ちょっと変じゃないか」と思うことに、過敏に反応してしまうようです。
自分なんかがおこがましい、という考えさえ浮かんでしまうレベル。


で、誘ってくれた女の子・わたりちゃんの様子を見に行ったりします。
(わたりちゃん凄く可愛いです。ここ重要。
彼は恐らく、今までも自分の「好き」に、正直になれなかったのかもしれません。


一方その凄く可愛いわたりちゃんですが、彼女もまた大人しいタイプの人間です。
そしてやはり友人から、「競技ダンス部はちょっとねー」という反応をもらっています。


じゃあ誰が物語を動かすんだよ……もう先輩しかいないじゃんと思っていた私は、この後ごめんなさいをすることになる。


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物語を動かしたのは、つっちーでした。
自分なんておこがましいと考えたりもした、つっちーでした。


その理由がまた良かった。
もちろん、自分のやってみたいという気持ちに正直になったというのもある。
でもそれ以上に、「わたりちゃんのやってみたい」という気持ちを、土屋は大切にしたかった。


わたりちゃんは、男性多数の中、たった一人でダンス部にきていました。
それくらい、やってみたかったのでしょう。
敷居は高くても、その気持ちを大事にして欲しい。それはまた、土屋自身が大切にしたいと思った気持ちだから。



一生懸命、男の子している姿に胸が熱くなる。



勇気を振り絞って取った行動だというのが伝わってきて。奥手な男の子が、まだそこまで接点のない女の子に、こんなことよっぽど頑張らないとできない。それが分かるから、このシーンはたまらない!

努力の理由


すじピン1巻では、試合はありません。
ダンスシーンは、練習ばかりです。でも部活での練習シーンだけじゃなくて、登下校の際の練習シーンもあって、それにはどこか微笑ましさがあったりします。


丁寧に練習シーンを描き、少しずつできることが増えていく二人。
その様子を見るだけで楽しいのだけれど、二人が努力する理由が伝わってくると、じっとしていられないような気持ちにさえなってしまう。


努力する理由は、人それぞれです。
二人の場合は、それがお互いのためというだけなのに、純粋な気持ちにすっかり当てられてしまうという。


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もちろん、自分が上手くなりたいからという理由もあるでしょう。もしかしたら、わたりちゃんの場合はそっちが強いかもしれない。
でもつっちーの場合は、間違いなく両方です。
自分も上手くなりたいのはもちろんですが、パートナーのわたりちゃんが頑張っているのに、自分が頑張らないわけにはいかないという気持ちが生まれている


展開も非常に熱い。
自分もわたりちゃんに負けないくらい頑張ろうと思い、人気のない公園を探して練習しようとすると、すでにその公園でヒロインが練習している。

わたりちゃんより頑張ることがどれだけ大変か、つっちーは再確認させられます。
それでも一緒に練習することを躊躇わず、なおかつ明日からは倍頑張ろうと決意する姿は、思わず読む手に力が入った。


公園で練習しているヒロインと出会う展開も良いし、そのまま一緒に練習するというのがまた良いのですよ!
つっちーの申し出を、戸惑うことなくわたりちゃんが嬉しそうに受け入れる。
二人がパートナーになりつつあることを、一読者として感じさせられました。


わたりちゃんの笑顔は、一緒に練習できる嬉しさが多分に含まれています。
一人より二人の方が捗るのはもちろんでしょう。
しかし、パートナーと同じ気持ちを共有できているということが、笑顔の一番の理由のはずです。
自分だけ頑張るのではなく、二人で頑張ることができる。
そのことが、きっと嬉しいのでしょう。


ああもう、ここまで書いてたらまた読み返したくなる!


心を動かされるほどの青春を、この漫画に感じています。
ちなみに2巻もたまらない展開が待っていることを、すでに知っています。
大好きと言える漫画に出会うと、本当に嬉しいものです。


等身大の主人公たちが織りなす、この青春漫画をぜひ読んで欲しい。オススメです。

オマケ


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地味なヒロインかもしれませんが、わたりちゃんが可愛くかつ本当に良い子で幸せです。
こんな女の子と一緒に部活したいだけの人生だった。


鉄楽レトラ 6 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

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ボールルームへようこそ(8) (月刊少年マガジンコミックス)

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